チベット高原万華鏡 生業文化の古今の記録を地図化する モザイク柄のヘッダ画像

チベット高原万華鏡テキストDB

「チベット高原万華鏡テキストDB」では、フィールド調査の記録や文献資料に記録された牧畜や農耕といった生業にかかわるテキストを引用し、日本語以外の場合は翻訳も添え、「搾乳と乳加工」「糞」「食文化」「服飾文化」などのカテゴリータグをつけて集積しています。地図上にはプロットできない情報を含め、民族誌や旅行記、史資料の中にバラバラに存在していた生業にかかわる情報を検索可能な形で統合して見える形にすることで、新たな研究を生みだすことを目指しています。

なお、本DBは進行中のプロジェクトであり、引用や翻訳に間違いが含まれている可能性があることにご留意ください。ご利用される場合は、必ず原典を確認してご利用いただければ幸いです。問題があれば、 「チベット高原万華鏡」とはに示したお問い合わせ先にご連絡いただければ幸いです。また、論文、著書などで利用される場合は、本DBを利用したことに言及いただければ幸いです。

「チベット高原万華鏡テキストDB」の使い方
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全 2383 件
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ことわざ
ほら吹きが山のごとく語っても 真実はヤク一頭ほどしかない
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ことわざ
普通のお父さんが踊る踊りと プロのダンサーが踊る踊りは全く違う
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ことわざ
向上を望むなら強い集中が必要
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食文化
ミルク茶は、お湯を沸かし、やかんに注いだら黒茶〔四川などの茶の産地から運ばれてくる発酵茶を固めた磚茶〕を放り込み、ミルクを注いでこぽこぽと沸かす。家によってはお茶の中に塩を少々入れることもある。M村ではお茶のことは白い汁、カルクという。
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食文化
たまに主婦の発案で特別なミルク茶を沸かすことがあって、それはツァム茶というものだ。言い伝えによれば、ツァム茶はルンの病を落ち着かせるといって、ルン・ティーバ・ペーケンという3つの病のうち、ルンの病を治癒する特別な効力があるのだという。ツァム茶の作り方はたいして複雑なものではなく、まずバターでツァンパを炒め、炒めたツァンパを沸かしたお湯の中に投入し、茶葉を入れ、ミルクを注ぎ、ぐつぐつと沸かし、たっぷり時間をかけて掬っては落とし、掬っては落としてかき混ぜなくてはならない。だからツァム茶をつくるのは朝忙しい主婦にとっては時間を食う仕事なので、普段はツァム茶はつくらない。
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食文化
ミルク茶とツァム茶のいずれも、ミルクが主体なので、乳牛が多くないときや、乳牛に子牛が生まれる時期でないときには、朝、ミルク茶を飲むことはお預けになる。そういうときは茶葉をお湯に入れて、ミルクなしのお茶、チャタンを作る。チャタンのことはM村では黒い汁、ナックという。
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食文化
カルニョクは、茶碗の中に小麦粉と油を入れ、少々の水を加え、完全に混ざるまでよくかき混ぜてから蒸籠に入れて蒸したものである。センニョクは豆粉を熱湯に入れてかき混ぜ、煮えたらニンニクやネギを入れて食べるものである。
2348
食文化
蒸し料理の一つにカルツォというものがある。これは茶碗の中に細かく挽いたひき肉と水を注ぎ、茶碗を薄く伸ばした小麦粉の生地で蓋をし、蒸籠または茶碗が沈まない程度に水を張った鍋に入れて蒸したものである。
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日常の行為と道具
煙突から煙が立ちのぼるのは、世帯の主婦が朝早起きをして、朝餉のしたくをしている印である。そのことを(M村の)人々はニェダ・ラン〔文字通りには「火の合図のために起きる」〕という。ニェタ・ラン〔文字通りには「灰のために起きる」〕と綴る人もいる。かまどの灰を朝一番に掻き出して(灰捨て場まで)運ばなければならないのでこのように綴るのだという。
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糞
火起こしをする主婦は、朝起きるとまずは用を足し、ごく簡単な掃除をしてから、まずはかまどに溜まった前日の灰を掻き出し、家の外にしつらえられた下肥の山あるいは牛小屋に運ばなければならない。
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糞
火を起こすには、まず燃えやすい乾いた植物を使うことが多い。普通は山から採ってきたシャクナゲの枝を乾燥させたものと、キンロバイの枝を乾燥させたもの、または胡麻の茎を乾燥させたもの、枯れ草、木っ端などを入れ、その上に軽いクズ糞をいくつか入れて点火する。
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食文化
トゥクパは一般に肉と脂肪の具[sdor]を入れるか入れないかによって二種類に分けることができる。シャトゥク〔肉入りのトゥクパ〕とジェントゥク〔肉なしのトゥクパ〕である。シャトゥクは、まず肉をゆで、さらに細かく切った肉を具として入れ、そのスープで煮たトゥクパである。ジェントゥクは肉も脂肪も入れず、お湯を沸かした中でトゥクパを煮て、そこにニンニクやネギ、そして熱した油を入れてつくるトゥクパだ。
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日常の行為と道具
M村の言葉にも仕事の性役割分担に呼び名があり、男性がしなくてはならない仕事とその領分に入る仕事はホリ〔男仕事〕、女性がしなくてはならない仕事とその領分に入る仕事はモリ〔女仕事〕と呼ぶ。ホリとモリの区別は比較的はっきりしていて、例えば村の誰かが口頭で、「ホリもモリもしなけりゃならない」と言ったとすると、その人は(仕事盛りの夫ないし妻がいないといった)悲しい状況に恨み節を述べているようなものである。しかし、ホリとモリはナイフですっぱり切り分けられるようにはっきり分かれているわけではなく、時には男性の仕事を女性が手伝うこともあれば、女性の仕事を男性が手伝うこともあるのであって、そうした仕事は男女協業の仕事とも言う。
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住文化
M村の人々は、雄鶏の最初の鳴き声が響くことを、一番鶏が鳴いたという。それからお茶を一杯飲むほどの時間が経つと、再び雄鶏が鳴き声を上げる。これを二番鶏が鳴くという。その頃になると東の山の端から曙光がさしてきて、夜明け前の漆黒の闇が徐々に薄らいでいき、空の月や星もお茶に浮かべたバターが溶けていくように(見えなくなり)、村の様子がありありと見えてくる。それからまたお茶を一杯飲むほどの時間が過ぎると、再び雄鶏が鳴き声を上げる。これを三番鶏が鳴くという。この頃になると山の端から黄金色の朝日が差し、明るくなり、村を囲む山々や家々もみな目を覚ますときだ。この頃になるとM村の各世帯の煙突から青白い煙が立ちのぼるのが見える。
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住文化
村では、火起こしの早い遅いをもって、その女性が働き者で手際のいい女性、すなわちユクのある女性か、怠け者でだらしのない女性、すなわちルマかに峻別されてしまう。朝早くから火起こしをして、家の外の仕事も内の仕事もしっかりてきぱきとこなす女性は仕事にユクのある女性として賞讃の印に親指を立てられるだろう。日が昇りきってからようやく起きてきて、家の外の仕事や内の仕事にも精を出さない女性はルマと呼ばれて軽蔑されかねない。
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日常の行為と道具
M村ではお湯を沸かしっぱなしにすることよくないことと見なされており、「お湯の沸かしっぱなしは不吉」という言い習わしがある(ほどで)、沸かしすぎてしまったお湯は雌牛や犬の餌を作るのに使われる。
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食文化
冬、または枯れ草の季節から新芽の季節に移行する春[dpyid skya zad sngo thug]といった野菜類の少ない季節には、主婦たちは油と肉、脂肪、小麦粉、バターなどを使って家族においしい昼食を用意する。(代表的なものに)イニョク[g.yis nyog]とシャプジャ[zhabs zha]の二つがある。これらは小麦粉と油を使って作る料理である。
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食文化
ツァンパの食べ方もさまざまな種類がある。一般的には朝好んで食べられるのは、シャプトゥ[zhabs gtul]という食べ方だ。シャプトゥはフトゥマ[gtul ma]とも呼ばれ、食べ方は少量のツァンパを茶碗の底[zhabs]に振り入れ[gtul]、さらにバターと干しチーズを入れ、茶殻[ja ro]が入らないようにミルク茶を注いだら、まずミルク茶の表面に息を吹きかけてお茶の表面に浮いたバターを除けながらお茶を啜る。お茶を飲んだら、茶碗の底に溜まったフトゥマをねりまぜながら[dkrugs dkrugs btang ste]食べる。かつてはこの食べ方のことを「フトゥマを嘗める[gtul ma ldag]」と言っていたことからすると、フトゥマは固体というより液状の食べ物だったということがわかる。シャプトゥのまた別の食べ方としては、ツァンパを練って手で半握り['ching bu]にして食べる習慣がある。
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食文化
さらにギョンマ[sgyung ma]というものもあって、材料はパン種を少しゆるくして[sla gzugs su chags par byas]、少量の油を加熱した鉄鍋に流して両面を返しながら焼いたものである。
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搾乳と乳加工
ローラブのグジャール人とパターン人は、彼らが「ミルク・ブレッド」と呼ぶ一種のチーズを作っている。2人のイギリス人女性が販売用のチーズを作っており、多くの人に好まれている。もし経験豊富なチーズ製造業者が少しの資本を持ってこの事業に取り組めば、成功するであろうことは疑いの余地がない。この谷には北インドの全駐屯地にチーズとバターを供給するのに十分な牛乳がある。
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