チベット高原万華鏡 生業文化の古今の記録を地図化する モザイク柄のヘッダ画像

チベット高原万華鏡テキストDB

「チベット高原万華鏡テキストDB」では、フィールド調査の記録や文献資料に記録された牧畜や農耕といった生業にかかわるテキストを引用し、日本語以外の場合は翻訳も添え、「搾乳と乳加工」「糞」「食文化」「服飾文化」などのカテゴリータグをつけて集積しています。地図上にはプロットできない情報を含め、民族誌や旅行記、史資料の中にバラバラに存在していた生業にかかわる情報を検索可能な形で統合して見える形にすることで、新たな研究を生みだすことを目指しています。

なお、本DBは進行中のプロジェクトであり、引用や翻訳に間違いが含まれている可能性があることにご留意ください。ご利用される場合は、必ず原典を確認してご利用いただければ幸いです。問題があれば、 「チベット高原万華鏡」とはに示したお問い合わせ先にご連絡いただければ幸いです。また、論文、著書などで利用される場合は、本DBを利用したことに言及いただければ幸いです。

「チベット高原万華鏡テキストDB」の使い方
« »
ページ: of 93
全 1844 件
241
糞
牧場では、冬のために家畜の糞を集めることも日課の1つであるという。
242
放牧作業
12−4月には、干し草が主な家畜の飼料となるので、このために干し草を夏の間に集め、家の屋上に蓄えて置くという。
243
放牧作業
下手ラダック地方のカラツェ村では、牧畜よりも農耕、果樹栽培にウェートがおかれる。
244
放牧作業
下手ラダック地方の村では牧畜への依存が低くなっているが、男性は自由な時間があれば、たいてい家畜の世話をする。ドクサに行けば、男はヤギ・ヒツジの群を放牧するため山に連れていき、搾乳もするという。
245
家畜の個体管理
一方、ウシ(牝ウシ)も、体色と角の形状によって次のように区別される。体色には、セルポ(ser po「黄色」)、ナクポ、ターオ(khra bo「2色の(斑のある)、黒班、白斑」)、ゴリに区別される。また、ウシの角は小さいため、角の大きさによっては区別されず、むしろ形状で区別され、ルクック(ru kug「角・鉤状」)、ルンジョン(run jong「角・真っ直ぐの曲がっていない」)の区別がある。
246
家畜の名称
大型家畜は、色、角の形、大きさをもとに個体識別できるので、焼き印をつける必要がないという。ゾモ、牝ウシ、ヤクとで、少しずつ、色や形態のカテゴリーが異なるが、次のような基準で識別されていた。ゾモの個体識別は、体色、角の形、大きさをもとに行われる。ゾモの体色(mdog、ドク)は、次のように区別されている。ナクポ(nag po「黒」)、カンポ(kham po「明るい茶」)、タースック(khra sug「白と黒の班(2色)・(不明)」)、ゴリ(sngo li「灰ー青色・(不明)」)の4色である。角の形には、リヨン(ru yo「角・曲がった」)、リチョロンボ(ri co rom bo「角・厚い」)、リチョタモ(ru co phra mo「角・薄い」)の区別がある。大きさでは、チェンモ(chen mo「大きい」)、ツンツェ(chung tse「小さい」)をお語尾につけて区別される。ゾモは、このような区別をもとに次のように、名づけられてる。例えば、ゾゾモ・ナクポ・リヨンチェンモ(dzo mo nag po ri yon chen mo)は「黒い色の、曲がった角を持つ、大きなゾモ」を示す名称となるのである。
247
家畜の名称
ヤク(あるいはデイモ)の名付けをみると、黒い体に白い尾のヤクに対してガマ・カルポ(rnga ma dkar po「尾・白い」)、黒いヤクに対してナクポ、体も尾も明るい茶のヤクに対してゴリ、斑のヤクにたいしてターオといった名前が付けられる。ヤクは、体色、尾の色が区別の指標になっていることが分かる。ヤクは毛が密生し、尻尾も毛が厚く短いのに対し、ゾモは尻尾が薄く、長く、両者は明瞭に区別できるという。
248
宗教的行為
11月、ネパール人の家々には、どの庭先にもヤギか豚がつながれているのが見られた。11月の下旬はネパール人の正月だったからである。正月の前日には彼らはヤギ、豚を殺して神に供え、一部の肉を親戚及び日頃世話になっている人々や、親しく交際している家々に、贈物として配り正月を迎えている。
249
食文化
蕎麦のできる時分にはその新芽を酸乳でまぶしたちょうど白和えのようなご馳走もありますので身体は至極健全でありました。陽暦の8月頃は蕎麦の花盛りで非常に綺麗です。
250
食文化
この村では妙な物を喰って居ります。ターウと言って蕎麦のような物でありますけれども蕎麦よりはまだ悪い。この村ではこういう物しか出来ぬ。
251
食文化
袋の中から麦焦しの粉を出して椀の中に取り入れてそこに雪と幾分かのバタを加えてうまい具合に捏ねるです。それからまた一方の椀には唐辛子と塩とを入れて置きまして、そうして一方の麦焦しを雪とバタとでよく捏ねてその唐辛子の粉と塩とを付けて喰うのです。
252
糞
その辺へ野宿と極め込んでまずヤクの糞とキャンという野馬の糞を拾う必要がある。それを薪にするのでござります。
253
搾乳と乳加工
ンガルチュル(甘チーズ)とは、ミルクからバターとクリームを取ることなく乳酸発酵させて酸乳(ショ)にしたものを攪拌して、加熱し、凝固したものを天日干ししたものである。
254
植物と動物
雪の中に居る豹で実に恐ろしい奴がある。これは英語にスノー・レオパルド、学名をフェリス・ユニガというのでチベット人はただシクと呼んでおる。
255
搾乳と乳加工
ンゴチュル(青チーズ)は、攪乳器の場合はバターミルクを、クリームセパレーターの場合はスキムミルクを発酵させて酸乳(ショ)にし、一度加熱して取り出した味の良いチーズのことを言う。
256
搾乳と乳加工
キュルチュルは攪乳器の場合はバターミルクを、クリームセパレーターの場合はスキムミルクを酸乳(ショ)にし、長時間沸かして作るチーズのことを言う。
257
搾乳と乳加工
ホエーチーズ(skya phyur)はチーズを取ったあとのホエーを長時間加熱して煮詰めてできる、チーズと似た形状の味の悪いもので、人によってはカンダとも言う。
258
暦と度量衡
チベットに入ると、今度はチベット式距離観念の習慣に変わって、チベット内を歩き回った土地の距離はその方式でないと、ピンとこなくなってしまったのである。……即ち……彼らは必ず、「ダカン(駅亭)幾つだ」と答えるであろう。ダカンは、8キロごとに設けられているため……蒙古式距離観念よりは、ずうーっと正確である。
259
搾乳と乳加工
(チーズのうち)甘チーズはバターやクリームを取らずに沸かして作ったチーズであり、
260
食文化
そこ(市場)では米、小麦粉、ザンバーの他に、「ムリー」というふかし米も売っている。ふたりには目新しいものであった。ブータン米はインド米と同様、長い米で味も大味であるが、……チベット人には余り好まれない。
« »
ページ: of 93