チベット高原万華鏡 生業文化の古今の記録を地図化する モザイク柄のヘッダ画像

チベット高原万華鏡テキストDB

「チベット高原万華鏡テキストDB」では、フィールド調査の記録や文献資料に記録された牧畜や農耕といった生業にかかわるテキストを引用し、日本語以外の場合は翻訳も添え、「搾乳と乳加工」「糞」「食文化」「服飾文化」などのカテゴリータグをつけて集積しています。地図上にはプロットできない情報を含め、民族誌や旅行記、史資料の中にバラバラに存在していた生業にかかわる情報を検索可能な形で統合して見える形にすることで、新たな研究を生みだすことを目指しています。

なお、本DBは進行中のプロジェクトであり、引用や翻訳に間違いが含まれている可能性があることにご留意ください。ご利用される場合は、必ず原典を確認してご利用いただければ幸いです。問題があれば、 「チベット高原万華鏡」とはに示したお問い合わせ先にご連絡いただければ幸いです。また、論文、著書などで利用される場合は、本DBを利用したことに言及いただければ幸いです。

「チベット高原万華鏡テキストDB」の使い方
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搾乳と乳加工
凝乳を取った後の液体がホエーである。遊牧民は犬にやったり、煮詰めて女性が使う黒い化粧品(トゥーチャ)を作るなど、折々に使う。トゥーチャはホエーを濃縮液になるまで煮詰めて作ったものである。(翻訳:星)
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宗教的行為
龍を描いた黄旗および黄色の繻子に書かれた皇帝の署名のある祈祷文が送られる。そこには水神のヘ・ルン・ワンが康煕帝の殺された叔父を助けるように祈願されている。この繻子は、神前で読み終えられた後焼却される。水神への犠牲として二頭の白い牛、四頭の豚、十二頭の白い羊が供せられる。
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その他
チベットにおいては、標高3000メートル前後の谷間において農耕がまず展開し、のちにヤクの家畜化が実現するとともに4000メートル以上の高地での牧畜生活が営まれるようになった
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食文化
芥子(の種)はランプ用のオイルとして、特に農民の子供の身体のマッサージオイルとして用いられる。
385
役利用
鞍傷をつけぬようにし、野営地に到着して野に放つ時も野営地に到着しても鞍を鞍を取って放牧すればヤクの疲労が早く恢復するが、到着早々鞍を取ると、汗で湿っている背を急に冷たい風にあてて冷やすことになって病気や鞍傷にかかり易いため気をつけねばならない
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住文化
ゴロク族のことばで、冬営地をクンサ、夏営地をアイヤルサという。夏営地は、冬営地から一日行程以内のところにある。もっともちかい夏営地は、半日行程である。 (中略) 夏営地には固定家屋はなく、もっぱらヤクの毛で織ったテント(アラ)が使用される。ひとつのテント制作には、約五十キログラムのヤクの毛が必要である。夏営地での滞在期間は、六月から九月にかけてである。ゴロク族のなかでは、春営地や秋営地に当たる概念はない。 (中略) 冬営地から夏営地、夏営地から冬営地への移動には、去勢ヤクをつかう。去勢ヤクの背にテントや家財道具を乗せて運搬する。
387
食文化
(ツァンパについて)こうした食べかたはチベット地方で広く普及しており、タングート人が子供を叱るときよく次のように言う。「おまえはまだツァムバの作りかた一つ知らないんだろう」
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植物と動物
山の上でウシやヤクを放牧している牧畜従事者たちによって香木の葉は集められ、村の家族や親戚、友人に配られている。そのほか村に住む人々が山へ出かけて、直接香木を集めることもある。香木は、タワンの人々の日常生活に欠かせないものであり、多くの家で毎朝香木を家の外の小さな炉で焚き、家の浄化が行われている。
389
食文化
役人はカプセを(挨拶にきた村人に)プレゼントする。カプセはマスタードオイル(芥子油)で料理されている。もし高山ならば、オイルのかわりにバターが使われる
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経済活動
ランタンの人々は不足の食糧を乳製品と交換することによって補ってきた。乳製品であるランタン産のバターはチベット側の寺に売る。ただし、寺院ではこのバターは食用ではなくて灯明用に使っていた。ランタン産のものは混入物が多く、食用にならなかったらしい。
391
食文化
go ri g-yis btsos maは、人によっては btsos ni 或いは go dmar と呼称される。g-yis(穀物油)であげるので g-yis btsos ma或いは btsos ni 或いは、色が赤黄いので、go dmar とも呼ばれる。
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搾乳と乳加工
(3)ヨーグルト:生乳を加熱し、スターターを加え上着などの着物で覆って、一日でできあがる。(4)バター:生乳を右図のような陶製の容器に入れて、容器を揺するとバターができる。バターを取り出して手で捏ねて団子状にする。これを冷水の中で固めると一塊りのバターができあがる。(5) 乾燥チーズ:バターを取り出した後、陶製の容器にはバターミルクが残る。これを沸騰しない程度に加熱して、表面に浮かんでくるのが凝乳(カード)である、下部にはあっさりした水(ホエー)が残る。凝乳を取り出して手で搾り、手の隙間から握りだして細長い形のねじった帯状にし、きれいな木片や竹の板のうえに置いたまま日に当てて乾燥させる。砂糖を加えて作ると甘みが加わってさらに美味しくなる。客をもてなすおやつやハレの日の食べ物として利用される。
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日常の行為と道具
一時は野生ヤクを射つことができた。今は絶滅しかかっているというわけではないが、ヒンズー教徒の藩王が治めるこの国では射つことが許可されないのだろう。意外なことに、この種類の違う動物はそれぞれ固有の牧草地を固守していて、従者の地元猟師は、どの斜面にどんな動物がいるか正確に知っている。
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搾乳と乳加工
搾乳の対象になるのは、ヤクだけである。ヤクのほかに多数飼育されているヒツジやヤギ、ウマは、すべて搾乳の対象にはならない。(中略) ヤクの搾乳期間は、だいたい六月から十月にかけてである。一日の泌乳量は、三キログラムから四キログラムになる。
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搾乳と乳加工
とりわけ冬季のヤクの凝乳(la bo)は特に味が良く、健康にもよい、牧畜民にとって最高の食べ物である。
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搾乳と乳加工
ナクチュの東側の牧畜地域のほとんどで、バターミルクの甘みが強いときは青チーズ(sngo phyur)を作り、酸味が強いときは白チーズ(skya phyur)を作る習慣がある。
397
搾乳と乳加工
(チーズの作り方は)バターミルクをとろ火で加熱してホエーとカード (la bo) に分離したところでかまどから下ろし、それから冷まし、目の粗い白い袋に投入してホエーを流すというやり方をとる。
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搾乳と乳加工
翌日ホエーが全て流れた凝乳(la bo)をチーズ用のカゴ?シート?(phyur sle'u)という羊毛やヤクの柔毛で作った織物(シャラ)または清潔な白い綿布のいずれかを畳んだもの?や、地域によっては竹で編んだものの上で細かい粒状にして乾燥させる。
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搾乳と乳加工
チーズ(phyur ba)を干している間、チーズの見張り番(phyur srung)を立てる必要がある。鳩やカラス、小鳥などの鳥たちがチーズを啄ばんでしまう危険があるのと、山羊や犬がチーズ泥棒を働く危険があるためである。
400
農業
文革期チベットの山南、ラサ、シガツェ3地区では人民公社運動開始とほとんど同時に大面積にわたって冬コムギの試植と拡大をはじめた。1972年全自治区に播種された冬コムギはまだ全区食糧栽培面積の3.57%にすぎなかったが、75年には約3万7000ha、春コムギの2倍の面積となった。
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