「チベット高原万華鏡テキストDB」では、フィールド調査の記録や文献資料に記録された牧畜や農耕といった生業にかかわるテキストを引用し、日本語以外の場合は翻訳も添え、「搾乳と乳加工」「糞」「食文化」「服飾文化」などのカテゴリータグをつけて集積しています。地図上にはプロットできない情報を含め、民族誌や旅行記、史資料の中にバラバラに存在していた生業にかかわる情報を検索可能な形で統合して見える形にすることで、新たな研究を生みだすことを目指しています。
なお、本DBは進行中のプロジェクトであり、引用や翻訳に間違いが含まれている可能性があることにご留意ください。ご利用される場合は、必ず原典を確認してご利用いただければ幸いです。問題があれば、 「チベット高原万華鏡」とはに示したお問い合わせ先にご連絡いただければ幸いです。また、論文、著書などで利用される場合は、本DBを利用したことに言及いただければ幸いです。
41
祖父は自分の古い衣の袖を取り外し、それらを切って縫い合わせ、私のための小さな衣を作った。毛皮は古かったがとても暖かった。そして、古い衣の表皮を靴の甲皮とし、靴底にも皮を縫い付けて、冬用の靴も作ってくれた。
42
一生働いた挙句、自分の父母や配偶者が亡くなった時は、心悲しく、物惜しみすることなく、ため込んできたものや、馬やソクを気前よく僧院に寄進し、最後には家財すらすべて寄進してしまう。
43
トトゥンは怖くなって、黒い革袋もぶるぶると震えた。
44
それからドゥクモは灰を一握り、ハシブトガラスに向かって投げつけた。
45
それに対してドゥクモと召使いの三人はどうすることもできず、凶兆を隠して誰にも言わずに自分の部屋にこもった。
46
折れるはずのない金の柱が折れ、切れるはずのない絹の張り綱が切れ、外れるはずのない瑪瑙のフックが外れ、抜けるはずのないトルコ石の杭が抜け、天幕ユダ・ティンショクはぐしゃりとつぶれた（？）
47
それはリン国ケサル王の守護鳥です。王が北の国からお帰りになる兆しです。と嘘をついた。
48
そこでドゥクモは右には金の茶瓶でお茶を捧げ、左は銀の酒瓶でチャンを捧げ
49
（ドゥクモは）武将よご武運をと言った。
50
（ホル国のクルカル王は気に入らない結果を言った占い師について）知ったかぶりをするこのような人間は地上においてはおけぬから八つ裂きにしてラプツェの下に埋めてしまえと言った。
51
（リン国のデンマは）日おもてでヤマハハコを摘み、日かげではビャクシンを摘み、日おもてと日かげの間ではヨモギを摘んで、白雲のごとき土地神への焚き上げをした。
52
（デンマは）鞍をつけたまま馬には乗らずに徒歩で下って（ホル国に）向かっていった。
53
日おもての馬を日おもてから集め、日かげの馬は日かげから集め、それから日おもてと日かげの間から厚め、キキソソホホーと言いながら天と地を（馬で？）満たして追っていった
55
ホルの神、白・黒・斑の三種のテウランの？？？をお迎えしに行った。
56
（クンブムの僧舎の）屋上は、燃料に拾い集めたアルガリや、僧舎で飼っている家畜の糞を乾燥させる場所であり、各僧舎の屋上には馬糞、牛糞が一面拡げられ、乾燥すれば屋上から炊事場の燃料入れ場に通ずる穴があって、この穴に掃き入れるようになかなか便利にできている
57
十月中旬……彼らはバロン廟から購入運搬の依頼を受けたバターをラクダに満載し、……帰って行った。青海省からバターを購入、同じ遊牧地帯のアラシャンに搬出することは、少々疑問に思われることであろうが、それほど青海省の遊牧地帯からは、バターが多量に産出され、価格も安く、運搬費をかけて定遠営に搬出しても利潤があり、食用としてのほか廟の灯明油としても用いられ、その消費量は莫大なものであった。
58
青海のタングート人はこれ（トマ芋「ジュマー」）を多量に採り、漢人とジュマー一升、青稞一升と交換している。内蒙の蒙古人達も青海からこのジュマーを購入し、法会の御飯をつくる場合用いているのである。
59
（鲁沙尔で）数十頭のヤクを追って現れたタングート人が、ヤクの毛で編んだ黒い大きな天幕を張り、天幕の周囲を取り巻いて壁のように羊皮、皮革やバター、ジュマー（トマ芋）を入れた袋を積み重ね、その品物のそばには、蒙古犬より大きい真黒な獰猛そうなタングート犬が監視役に寝そべっている。天幕に入れば……タングートが、どっかりあぐらをかいてキセルをくわえている。どうにかして彼らとうまく取引しようと、漢、回商人がいろいろお世辞をいい機嫌をとりながら、小麦や青稞の見本を見せながら取引きしている。
60
（遊牧民の間では）針の需要は非常に大で、……畳針大の太い、針穴も大きいのが好まれている。リュースル（鲁沙尔）の街では蘭州方面で作られた遊牧民特有の、長さ大きさもちょうどマッチ棒大の針が売られていて、遊牧民間に好評で需要が多く、彼らはこの針をタール寺のジュー（針）と呼んでいるのである。……遊牧地帯への旅行には針一本で多くのバター、肉類その他のものと交換することができる……。
