チベット高原万華鏡
生業文化の古今の記録を地図化する
チベット高原万華鏡テキストDB
「チベット高原万華鏡テキストDB」では、フィールド調査の記録や文献資料に記録された牧畜や農耕といった生業にかかわるテキストを引用し、日本語以外の場合は翻訳も添え、「搾乳と乳加工」「糞」「食文化」「服飾文化」などのカテゴリータグをつけて集積しています。地図上にはプロットできない情報を含め、民族誌や旅行記、史資料の中にバラバラに存在していた生業にかかわる情報を検索可能な形で統合して見える形にすることで、新たな研究を生みだすことを目指しています。
なお、本DBは進行中のプロジェクトであり、引用や翻訳に間違いが含まれている可能性があることにご留意ください。ご利用される場合は、必ず原典を確認してご利用いただければ幸いです。問題があれば、 「チベット高原万華鏡」とはに示したお問い合わせ先にご連絡いただければ幸いです。また、論文、著書などで利用される場合は、本DBを利用したことに言及いただければ幸いです。
「チベット高原万華鏡テキストDB」の使い方
- セレクトボックスから選択することで、カテゴリー別に絞り込むことができます。カテゴリーは地図版よりも多く、31種用意しています。チベット牧畜文化辞典 のカテゴリーに「農業」、「ことわざ」、「その他」を加えたものです。
- フリーワード検索にも対応しています。引用テキスト(原文・翻訳とも)も検索可能です。複数のキーワードを入れると、1件の中にそれらの全てを含むデータを検索します。
- 右端の「詳細」ボタンを押すと、出典や原文などの詳細情報が現れます。
- 引用した原著テキストが日本語以外の場合、日本語訳と原文を両方提示しています。
1702
草原を焼きつくす猛烈な火のごとく 羊の群れに突入した凶暴な狼のごとく
1703
柔らかさと言ったらまるでツァル(子羊の皮)のよう 心地よさといったらまるでカッコウの声のよう
1704
誠実で控えめにしていれば、羊毛より柔らかい人になり 悪事でのし上がれば、樹肌よりゴツゴツした人になる
1705
利発さは山羊ほどではないが 羊ほど鈍ではない
1706
山羊を殺すと羊が震え出し 犬を打つと豚が逃げる
1707
未熟な羊飼いは安全な羊の行路を阻む 悪しき行路は羊の蹄を痛める
1708
心に想いを抱かないのは盲従する羊のようなもの 口に意見を言わないのは門を鍵をかけたようなもの
1709
幸せな状況に安住出来ない人はいる 山羊は平坦な場所には住みたがらない
1710
山羊が好むのは岩山であり 羊が好むのは草山である
1711
競走の場所を岩山にすれば 馬より山羊のほうが早い
1712
馬が柳の葉を食べるのは 山羊が馬に教えたのだ
1713
娘は幸せな生活に安住せず 山羊は安穏な平原に安住しない
1714
父は老いて羊守りになり 母は老いて子守りになる
1715
豚の世話をして、食事の仕方を忘れる 馬の世話をして、ゆっくり歩くことを忘れる 羊の世話をして、落ち着いて留まることを忘れる
1716
年寄りの頭髪はふわふわのツァル(子羊の毛皮)のよう 身体も歳喰ってよれよれの立木のよう
1717
食事はツァンバ(大麦粉を挽いてパラパラにしたもの、または炒ったもの)とチュラ(乾燥脱脂乳)を練ったもので、これに少量のマル(ヤクのバター)とお茶・砂糖(通常は四川省からヤクの隊商が輸入する茶色の氷砂糖)を加えたものだった。
1718
お辞儀をする家主に感謝しながらツァポ(半日程)進むと、笑顔な馬大佐が私たちの車はまもなく渓谷から不毛の岩山が連なる日月山脈へと繋がるニハ(峠)を登ると教えてくれた。しっかりと確認したが、チベット語ではニハは峠、ラは峠への登り道、テルは峠を越えた下り坂を意味する。
1719
この土地では、一般的に3つの単位だけが使われる――声の届く距離コサツァ、半日行程ツァポ、1日行程シャサである。
1720
我々は非常に寒い日月山から下りて、2時30分に4-5マイル下の平原にある、突き固めた粘土の高く厚い壁に囲まれた弾丸の穴だらけの平屋である、倒淌河の砦に到着した。中では炕の上で休んだ。それは木と泥のしっくいでできた棚で、ヤク糞を焚いて下から暖められていて、フェルトや熊の皮、シュデン(敷布団)で保温していた。